東京の会について

登校拒否・不登校の子どもを持つ親が出会い、情報交換や思いを語り合う場としての「親の会」が東京都内に多数あります。各地域の「親の会」では、定期的な例会で交流をはかったり、会報の発行や講演会に取り組んでいるところもあります。

 

都内各地域の「親の会」が集まって「登校拒否・不登校を考える東京の会(略称:東京の会)」は1996年に設立されました。

 

「東京の会」は、毎月世話人会と事務局会がもたれ、各地域の「親の会」の情報交換や交流と学習会、進路相談会を開催しています。毎年、夏に開催される「全国のつどい」にも実行委員会に参加しています。そんな中で、新しい親の会の立ち上げなどにも関わってきました。

 

3人集まれば「親の会」は作れる…ともいわれています。身近な地域に「親の会」を作るお手伝いを、「東京の会」でもおこなってきました。個人的なお話はもちろん、地域に親の会を作りたいが…そんなご相談も「東京の会」にお寄せください。

 

また、「登校拒否・不登校」に軸足をおきながら、親の高年齢化に伴う問題にも視点を向けています。「登校拒否・不登校からひきこもり、就労支援、自立」という事も視野に入れた学習交流の場を設けています。



 正月4日、帰省先から自宅に着くと同時に電話がありました。
電話は父親からで、「中学二年になる息子が、4月の新学期に一日学校に行ったきりで休んでいる。今は自室にひきこもって、毎日テレビやパソコンをしており、食事はひとり部屋でとり、風呂や着替えは一週間に一度ぐらいしている。自分は不登校に関する本を何冊か呼んだりした。しばらくすれば元に戻ると思っていたが、年を越してこのまま何もしないでいていいのかと不安に思っている。同じ不登校の子どもをもつ親の話を聞きたいので、近隣の『親の会』を紹介してほしい。」という電話でした。

 

 初めての電話でのお話からですが、昨年と違ったお正月を過ごされた事と思います。「新年を家族そろって迎え、テレビでは恒例の紅白歌合戦や、芸能人による賑やかなお正月番組がながれる中、お節料理を食べてお正月を楽しむ」のがこれまでの正月だったでしょうか。今年は、かたちは同じでもテレビ番組のように気持ちが乗らず、時には溜息を洩らす日々だったのではと想像します。「学校に行かない・行けない」子どもをもつ親の気持ちはうまく表現できないのですが、特にお正月のように日常と違う「晴れやか」な時ほど、「どうにもできないもどかしさと、先々を考えると不安」が、心の中に強く沸き上がってきたことを思いだします。桜前線が話題になり、新学期を迎えれば、「いつになったら学校に行ってくれるのだろうか」と思い悩むことを何年も繰り返しました。


 学校に行かなくなったわが子を前に、「ワラをもつかむ」ような気持ちで、講演を聞いたり、本を読んだり、病院や相談所を訪ねたりと”解決策”をさがしたりしました。頭では少しは「不登校」を理解できるようになっていきましたが、しかし、気持ちはなかなかスッキリとはいきません。「子育てが間違っていたのか」「家庭に問題があるのか」と悩みは次々と広がり、ひとり又は夫婦で重苦しい毎日をおくる事になりました。いったいいつまでこんな状態が続くのだろうかと溜息をつきました。子どもが理解出来ず、「手の施しようもないお手上げ状態」で「むしろ病気であってくれたほうが、薬や治療法がたてられていい」とまで思ってしまいました。


 子供の状態はそれぞれ違っても、「不登校の子ども」をかかえる親の苦悩は同じです。こうした思い悩む親たちが集まって、互いの心情や子供の状況を話す場を作ってきました。不登校の子どもをもつ親の「自助の会」=「親の会」です。そこは、子どものこと、苦しい気持ちを話し、また聞くことで癒やされ学びあうところです。親として、右に左にこころを揺らしながら、それまでもっていた価値観を築き直す場になりました。そして、一歩一歩「子どもの心に近づく」ことでもありました。子どもの状況は簡単には変わりませんが、子どもを見る目が変わり、子どもに寄り添って生きていくエネルギーが貯えられました。


 今日全都にこうした「親の会」がさまざまな形で多数活動していると思われますが、その各地域の「親の会」が集まって、「登校拒否・不登校を考える東京の会」が1996年に設立されました。設立の話し合いが始まったのが1993年の「全国教育研究集会」(於東京)ですからもう十五年になります。今、「教職員の会」も含めて、十数ヶ所の「親の会」が「東京の会」に参加していますが、会の中には定期的な例会で交流を図ったり、会報の発行や講演会、学習会も開催しているところもあります。「東京の会」は、毎月世話人会と事務局会がもたれ、各地域の「親の会」の情報交換や交流と、学習会、進路説明・相談会を開催してきました。また毎年夏に開催される「全国のつどい」に取り組んでいます。


 地域に「親の会」ができ始めた頃は、「登校拒否・不登校」という言葉すら一般的ではなく、情報を得るにも手さぐり状態でしたし、親も子も孤立した状態に置かれていました。今でこそ、「登校拒否・不登校」は、社会に「認知」され、メディアでも取り上げられ、書籍もたくさん出版され、不登校経験の子どもを受け入れる教育関係機関も多様なかたちで出来ました。しかし一方で思い悩む問題も広がってきています。子どもが教育を受ける機会のないまま年齢が上がってきていて、家庭に引きこもり社会にも出られずにいる子どもが増えています。そして、最近では親が定年を迎えるようになり先々の心配が現実味をもって話されるようになってきました。「登校拒否・不登校」にとどまらず、「ひきこもり」や「就労と社会的自立」といったこともテーマとなってきています。子どものことを思う教師や専門家の協力を得ながら、様々な試みも取り組まれていますが、改めて「社会的な問題」だと考えざるを得ません。「東京の会」は「登校拒否・不登校」に軸足をおきながら、幅広いテーマにも応えていく柔軟な対応をしていこうとしています。この春から、「登校拒否・不登校からひきこもり、就労支援、自立」という事も視野に入れた学習交流の場を企画しています。


 中学三年になったばかりの娘が、突然学校に行かなくなり娘の通う中学の先生に相談しました。パニック状態であせる私に「『いつか、そんなこともあったなあ』と親子で笑って話す時がきっときますよ。」と励ましてくれた先生の一言は、私の気持ちを落ち着かせ、こころの支えになりました。そして、地元の「親の会」の設立から今日まで、毎回足を運び数々の相談に乗って下さった先生の存在は、「親の会」の運営に欠かせないものでした。こうした出会いは、子どものことにとどまらずに、親の私自身の人生を豊かにし気持ちの良い影響を与えてくれました。

2008.(東京総合教育センターからの発信-その10-より)


登校拒否・不登校を考える東京の会からのお知らせや、定例会・各種セミナーなどの耳寄りな情報をご案内しています。

「親の会」は各地で運営されています。同じ悩みを持ち、語り合える方々がお近くにいるかもしれません。都内・その他にある親の会を探してみてはいかがでしょうか。


登校拒否・不登校を考える東京の会

102-0084

東京都千代田区二番町12-1

エデュカス東京6F

東京総合教育センター内

 

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